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『フライの雑誌』連載の   我が記事に関する補足解説専用ブログ
by s-masuzawa
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No.13 「広告」の落とし穴

No.13 「広告」の落とし穴_b0159869_13572999.jpg
“♪~しあわせ~ってなんだあっけなんだあっけ♪~ウマイ醤油はキッコーマン、キッコーマン♪”。コレ、明石家さんまサンが歌うCMソングです。このCM、現在、頻繁に流れていますねえ~。実際にご覧になりたい方は、コチラをクリックのほど。

ソコの冒頭部分にも記されていますが、このCM、23年前の1986年に流されたモノのリメイク版。オリジナルをご覧になりたい方は、コチラをクリックのほど。
ご覧になったらお分かりでしょうが、そもそもはキッコーマン製「ポン酢醤油」のCMでした。この商品、1986年度に新発売。それに伴うCM展開で、その露出度たるやスゴイものがあり、併せて当時、人気がまさにウナギ昇り中だった明石家さんまサンの出演ということもあって、CM自体の認知率はトップ級でした。

ところがです。実はトンデモナイ現象が起きました。この商品、一向に売れ行きがあがりませんでしたが、それどころかナント!競合他社の商品がバンバン売れちまいました。その商品とはミツカン社のポン酢醤油。すなわち、ひとつに、このさんまサンのCMはミツカンのCMだと勘違いなすっていた一般消費者が相当数いらしたということにほかなりません。さらには、このCMのおかげでポン酢醤油市場自体は活性化。その恩恵の多くが、すでに先行発売していたミツカン社に――ということです。「醤油」といえばキッコーマンでしょうが、「ポン酢」といえばミツカンですから。
現在、キッコーマン社はこの「ポン酢醤油」を作っていません。発売後ほんの数年で生産中止になりました。CMもむろん中止。「敵に塩を贈る(送る)」どころか、『金』贈ってる(送ってる)ようなもんですから当然でしょうねえ。

同じようなケースはさらにその10年前にもありました。松下電器(現:パナソニック)が満を持して発売した「クイントリックス」なるテレビのCMですが、コチラをクリックのほど。
当時一世を風靡したCMで、40代半ば以上の方々でしたら鮮明に覚えておられるだろうと。CM自体は大ヒット!しかしながら、肝心の「クイントリックス」は・・・・。まあそこそこ売れたんですが、それ以上に売れちまったブランドがありました。SONYの「トリニトロン」です。
CM好感度は異常に高いのに商品の売れ行きはイマイチ・・・おかしいと感じた松下サン、慌ててリサーチを。その結果を知ってひっくり返りました。なんとまあ、8割強の皆さんが、クイントリックスはSONYの商品だと勘違いなすっていたからです。ワハハハハハ!ですねえ~。
さらにです。CMを観て「買い替えを――」となり(=すなわち、「需要創出」「市場活性化」)、お店に足を運んだお客サマ、クイントリックスがSONY製品ではないと初めて知ってどうしたか。5割が「トリオニトロン」を購入し、3割が買い替えを諦めて帰路に着いたそうで。肝心のクイントリックス購入者は2割・・・・・関係者は笑えん、しかし、無・関係者は(大いに)笑える典型バナシ。
これまた、上記「ポン酢市場」と同じく、「家電」といえば「松下(当時は『ナショナル』)」かもしれませんが、「テレビ」といえば「SONY」だったからです、一般消費者の認識・心象レベルは。

以上ふたつのエピソードからは、様々な“教訓”が。ひとつに、広告露出頻度を高めたからといって、必ずしも効果が上がるとは限らない――それどころか、ヘタすりゃあ、競合他社の売り上げUPに“貢献”しちまう危険性が。とりわけ、キッコーマンのように有名人依存型や「クイントリックス」のように、商品名・製品名連呼型は時にかような結果になることが多いものです。
しかし、商品特性(=商品コンセプト)をきちんと打ち出したものなら話は別です。それがきちんと打ち出されたうえでの有名人依存・連呼型でしたら、「ブランド指名」に結びつきやすいもので。しかも、その商品特性が他にない独特のもの、あるいはまったくの新規なものでしたらその傾向は一層高まります。今回の『フライの雑誌』連載で、サンプルとして挙げた『麦とホップ』はその好例です。
今回の連載では、「シズル」ならびに「シズル広告」をテーマにしましたが、シズル広告のみならず広告なるもの、「はじめに『特性(特徴・特色・個性)』ありき!」が大前提。ソレを持ちえていないならともかく、きちんと有しているなら絶対的に前面に打ち出すべし!です。フライフィッシングにはソレがあります。厳然と有しています。しかも、他に例をみないほどにたくさん――。
「釣果を強調しすぎるな」「フライフィッシングならではの魅力を前面に!」。「シズル感」をテーマに据えたのは、フライフィッシングが、ひとつに、そのシズル要素をあまた有しているからにほかなりません。
by s-masuzawa | 2009-12-05 13:57 | 第87号用
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