『フライの雑誌』連載の   我が記事に関する補足解説専用ブログ
by s-masuzawa


8.浅瀬効果論ー1

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「ショップ機能」を高める上で、コンビニエンス・ストアは参考になる点が多々あります。人間の心理や行動特性を踏まえた科学的な見地からのデザインがなされているからです。デザインだけではありません。従来のお店とは全く異なる来店客対応を意図的に行うケースもあります。たとえば、雑誌&書籍のコーナー。このコーナー、(おそらく)ひとつの例外もなく、外に面した正面の、ほぼ横一杯に設置されていますが、ちゃあ~んとした理由があります。

順を追って説明しますが、雑誌&書籍コーナーは、来店客が滞留しやすいものです。モノがモノだけに当然でして、時間帯を問わず、必ずといっていいほど、どなたかが結構な時間にわたって“立ち読み”しています。上写真のようにです。すなわち、滞留しているわけですが、これがなかなかに効果的。他の来店客の誘引効果が高まるからです。

ショップなるもの、店内にいるのが、自分ひとりだけだとプレッシャーを感じるものです(相当に馴染みの店ならまあ別ですが)。「スタッフの眼」を無意識のうちに意識してしまうからです。他に客がいると、その分、プレッシャーは軽減。スタッフの眼がソチラにもいく(と感じる)からです。すなわち、「プレッシャーの分散」です。

この傾向はすでに入店前時点から始まっています。すなわち、先客が眼に入れば気楽に入店しやすくなるものです。本人が意識するしないは別にしてです(※全般的に浅瀬効果が極めて高いコンビニであってもそうですから、けっして高いとはいえない他のショップでしたらより顕著になります)。ですから、外部から最も視野に入りやすい正面横一杯に最も滞留しやすい書籍コーナーを設置しているというわけです。すなわち、より高い浅瀬効果(と先導役効果)を狙ったものなのです(※結果的にそうなった、つまり事後的にその効果を認識したという意見も否定できませんが)。

そのため、いくら立ち読みを続けていようが、コンビニ・スタッフは絶対に嫌な顔はしません。“客寄せ(パンダ)”役を果たしてくれてるようなものですから、むしろ歓迎されます。この点が、巷の小規模書店とは全くもって対照的なところです。頑固そうな店主のオジサンがハタキを手にして近づいてきては、私のヨコチョでパタパタと。必ずや、わざとらしい咳払いを連発させながら。私が若い時分は、そうでした。そういう店では絶対に雑誌一冊買いませんでしたが。雑誌の売り上げは、コンビニがトップになってから久しいですが、膨大な数の店舗数だけがその要因ではないということです。

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この手法は、フライショップでも応用が利くかと思われます。私が知る限り、雑誌&書籍コーナーはなぜか店奥に設けるケースがほとんど(全部)。試されてみてはいかがで?その場合の留意点ですが、ラック等の什器の高さは150cm程度まで。“読者”の顔が外からハッキリと見えなくては効果がありません。ですから、椅子を置くのはお止めになったほうがよろしい~となります。

また、雑誌&書籍だけにこだわる必要もありません。購買頻度の高いフックやリーダーなど、安価帯の必須消耗品系もアリかと思います。目的買いの意識はなく、ブラッと立ち寄ったフリー客など、退店に際し、“何かを買ったほうが退店しやすい”なる心理が必ず働くものだからです。いわば「義理買い」「言い訳け買い」で。スペースの広い量販店はまあともかく、けっして広いとはいえない個人経営型店ではその傾向が顕著です。言うなれば、退店時でも“敷居”を感じているわけです、来店なさる方々は。これもまた、低くしてあげるにこしたことはありません。

その場合の対象商品としては必須消耗品がベスト。買っておいて損するものではありませんし、どこのショップで買っても(ほとんど)同じですし、総じて安価だからです。すなわち、立ち寄る可能性も高いうえ、購買意欲モリモリで立ち寄りますから滞留時間も長めに――となるわけです。

先客がいると浅瀬効果が高まる――。基本的にはそうです。しかしながら、逆のケースもあります。常連の方がドカッとばかりに椅子に腰掛け、スタッフ相手におしゃべりをしているケースがその好例。なぜかフライショップの常連サン、独特のオーラを出す方が少なくないものでして、かような方が複数たむろしていると、浅瀬効果は一気に低下します。ですんで、常連サンが座るようなコーナーこそ、外から見えにくい店奥部へ。衝立(パテーション)や什器でさりげなく遮蔽すれば理想的。

この常連サンの扱いにはなかなかにムズカシイものがあります。いずれネタにすることにして、この項はオシマイとさせてもらいます。
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by s-masuzawa | 2009-02-06 21:59 | 第83号用
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